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俺は1歩ずつ後ろに後退る。ジリジリと近付いてくる狼……。心臓は煩く鳴り、どうにかなりそうだ……。 「っ!……いてぇ……」 後ろを見ずに下がっていたため、どうやら俺は木にぶつかってしまったらしい。 でも……ちょっと待て。これ、ゲームだろ? 何で痛覚まであるんだ? リアル……過ぎるだろ……。 不安が過る。痛覚があるってことは、モンスターに攻撃されたら……怪我をするってことか? 現実世界に響くかどうかはわからねぇが……、ゲームで痛い思いはしたくない。 「グルルルル……」 ――ヤバイ!! 本能的にそう悟った俺は、恐怖で動かない体にむち打ち無理矢理体勢を変える! すると、丁度俺のいた位置に狼の鋭い牙と爪が向かったのだ! まさに間一髪と言ったところだろう。まともに攻撃を受けた細い木は、巨大な衝撃音と共に折れてしまったのだ……。
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