惨劇

4/25
前へ
/190ページ
次へ
「仕方ない、奥へ行こう」 「うん」 本当は今日はあまり動きたくない。だって午前中に『光陽鳥(ホワイト・バード)』を倒したばかりなんだ。ダメージはさほど受けてないがやはり嫌なものは嫌だ。 でも、時間のないのも確かだから仕方ない、そう割り切って俺達はシェスタ森の奥へ足を踏み入れた。 「青空、あのね……」 「ん?」 「雪ちゃんから聞いたでしょ?」 のんびりと自然を満喫していたらかけられた朱理の声。ばつが悪そうに伏せられた瞳は、それでもチラチラと俺に向けられている。だが、一瞬俺も戸惑った。脈絡もなくいきなり雪の話になったんだからな……。 「能力の話だよ……」 「……あぁ、能力が俺には2つあるって事か?」 「うん、それ」 今まで忘れかけていた記憶だが、確かにそんな話を昨日雪から聞いた。でも俺はこの事をあまり重要視していなかった訳で……。 だってそうだろ? 一番信頼しないといけないパートナーが言わなかったんだから、特に重要視しなくても良いんじゃないかと思ったんだ。
/190ページ

最初のコメントを投稿しよう!

297人が本棚に入れています
本棚に追加