惨劇

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何故か含みのある笑みを浮かべ、猿本さんはそう言った。見ると、犬飼さんも何故か笑みを堪えているようだった……。もしかしたら、この先に何かあるのかもしれない……。気は抜けないな。 「……おい、馬鹿猿。さっさと行くぞ」 「あぁ? 何だとクソ犬」 「は? ふざけんな」 ……また口論を始めてしまったので、仕方なく俺と朱理は取り敢えず礼だけ言ってその場を後にした。大体あの2人は俺の近寄りがたい人種に入るからな……。実を言うとあまり、いや。出来れば関わりを持ちたくないしな。うん。 「……朱理、ありそうか?」 「ううん……。この辺にはなさそうだから、もっと奥かもしれない」 「そうか……」 取り敢えず、犬飼さんと猿本さんと別れた場所から結構歩いては見たものの、一向にその月見影草がありそうにない。 鈴蘭みたいな特徴的な花だったからすぐに見つかると思ったんだけどな……。
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