297人が本棚に入れています
本棚に追加
「貴方達の邪魔をすること、だもの」
「……」
「うふふ……あはははは!」
マモンはそう言うと高笑いをして俺達を見た。と、辺りがだんだん薄暗くなり始めて天気が怪しくなる……。
……まさか……!
俺は朱理を抱きかかえると、近くの高い木へと走り出した。嫌な予感がするんだ。
マモンは赤い唇をつり上げると、ゆっくりと手を高らかに挙げた。
刹那!
辺り一面を眩い光が目の前を支配したかと思うと同時に、耳をつんざくような轟音が鳴り響いたのだ! 突然の出来事に叫ぶ暇もなく俺は思わず尻餅をつき、朱理を落としてしまう。
だが……朱理には悪いがそれどころではない。
「……っ!!」
目の前の巨大な木は真っ二つに裂けており、焼け焦げてしまっているのだ。……言わずもがな、マモンの雷によって。
「私の能力の『雷』。本当の力はこんなものじゃないのよ?」
クスクスと小馬鹿にしたような笑いが静寂な空間に響く。
最初のコメントを投稿しよう!