惨劇

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俺は素早く携帯を銃に変換し、マモンに向け構えた。そしてそのまま引き金を何度も引く! 「フフフ、そんなの当たんないわよ坊や!」 黒い翼を広げ空中をクルクルと旋回するように飛び回るマモン。かなり動きは素早く、最大限に圧縮している弾ですらマモンには当たらない……。 黒い空にブロンドの髪は輝くように揺れ、切れ長の瞳は妖しく笑う。 「……チッ!」 思わず舌打ちが出る。普段朱理と倒すようなモンスターはかなり弱く、銃の出力を抑えてでも倒せるのに……。やっぱり悪魔はケタ違いの強さだな……。けど、弾は当たらなくても良いんだ。奴の気さえ引ければー……。 と、丁度俺の打った弾がいい具合に木に何発か当たり、ぐらりと揺れた。 これを好機と考えた俺はマモンを誘導しつつもその木に向かい、銃を乱射する。木の揺れは次第に大きくなり……遂に傾いたのだ! 「きゃっ……!?」 タイミング良く木の真後ろを飛んでいたマモンはそれを避けようと、無防備に勢い良く後ろに下がる。 ――チャンスだ! 俺は空気銃を素早く元の携帯に戻した。
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