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鞭打たれた背中からはジクジクと痛みが広がり、焼けるように熱い。まるで背中を火傷したみたいだ。ドクドクと血が波打つのが気持ち悪い。
掠れる視界でマモンを見ると、手の中の鞭は若干青白い光を放っているように見える。
……そうか。
火傷したみたい、なんかじゃなく俺は本当に火傷したんだ。マモンの属性は雷。あの鞭は電気を纏っているんだ……!
しかし、そんな事に今更気付いたってどうしようもない。
辺りの天気はやっぱり今にも振り出しそうなままで、俺も朱理も動けない……。
……畜生。
ちくしょう、ちくしょうっ!!
動けよ……俺の体だろ?
ゲームの世界なんだろ? ほら、動けって!!
「フフフ……」
掠れる視界の中でマモンが朱の唇を吊り上げた。ブロンドの髪が風に揺れ、鞭を手に愉う。
そして、無情にも鞭は大きく空を切る。
俺はその鞭の行方を知ることなく意識を手放した……。
「おイタは其処までだ、悪魔」
そして、この言葉が俺が意識を飛ばす前に聞いた最後の言葉だった。
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