救助

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うちらがここを訪れた時には明らかに晴天だった。なのに一瞬にしてこの天気……、おかしいとしか言いようがない。 猿本もジッと空を見つめたまま微動だにしない。今にも雨が降って、下手すれば雷さえ落ちそうだな……。 「……行くぞ」 「……は?」 静かな声で、でもハッキリ聞こえるように猿本はそう言った。何の脈絡もない言葉に思わずうちは聞き返したさ。だが、猿本は全くうちの事なんか気にも止めず来た道を走り出しやがったんだ! 「ちょ……、わけわかんねぇよ!」 「わからなくて良い。……早く来い、お前がいないと俺様が能力を使えないんだからな!」 「っ、んだと!?」 思わずカチンと来て睨みつける。だが猿本は背を向けて走っていてうちの方からは表情がわからない。……ちくしょう!! イライラする。あいつがうちに指図する事も、うちより必ず一歩前に出て歩く事すら気に食わない。 でも憤りはどこにもぶつけられず、うちはただ猿本の背中を見て走るだけ……。
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