救助

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いったい何百メートル……いや、行き帰りも合わせると今日だけで何キロ走ったんだ? もう足がガタガタ震えちまってる……。ちくしょう、うちは“あれ”と離れたあとこんなにも体力が落ちてしまったのか……? とうとう足は限界を訴え、もつれそうになる。酸欠で息が苦しい……。 「……急いでるのに余計な手間を増やすんじゃねぇよ、この馬鹿犬」 「っ、わ……っ!?」 「お前、俺様に貸し1な」 猿本の声が間近ですると思うや否やふわっと、急に体が軽くなり浮遊感を味わう。いったい何事かと思い、霞む視界で前を見ると目の前に広がる金。 それから鼻腔に広がる嗅ぎ慣れた香水の薫り。 瞬時にうちは悟った訳だ。 猿本にその……俗に言うお姫様抱っこをされてるってな。 「……っ、テメェ……!? 降ろせよっ、うちは……お前にこんな、っことをされる……くらいなら、走るわ! 馬鹿っ!!」 「それが足手まといなんだよ、馬鹿犬」 限界を訴えダルい手足をジタバタさせるが、ムカつく事に猿本は総無視。そのまま携帯を取り出し操作を始めだしたのだ。
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