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「その子どもの一言で、その地域の子ども達は立ち上がったの。『腐った大人達の手からこの国を奪おう』、それを合い言葉にね」
「……は?」
意味がわからない。大人に子どもが勝てるわけないだろ。しかも……、そこまで大人達に対して子どもが反感なんか普通買うか?
第一俺はそんなニュース見たことない。
俺は朱理にそう告げた。しかし朱理はフルフルと首を左右に振る。
「この国は少しおかしいの……。その子どものいた地域では、子どもは奴隷のように扱われていた。」
「奴隷……だと……?」
「そう。子どもは成人するまで奴隷。そういった決まりがスラム街では当たり前のようにあるわ。だから、ニュースにはならない」
俺は言葉が出なかった。俺の住んでる街はそんなことなかった。子どもだってちゃんと大人と対等だ。奴隷なんか、あり得ないだろ……。
「だから子どもは思いついたの。『愚かな大人に復讐を』、って……」
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