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「Ciao. ソレ役名だよ」
「「っ!?」」
不意に真後ろから低いテノールの声が聞こえた。とっさに俺と朱理はその場から離れ、元いた場所に振り向いた。
すると、そこにいたのは……、
「あれま。そんなに逃げなくてもよくね? まだ何もしてないんだしさ……」
「あんたは……っ」
確かに“悪魔”と形容すべき人物だった。すらりとした体。怠惰そうだが、面白がっているようにも見える緋色の瞳。適度にセットしてある、瞳と同じ緋色の髪。襟元には眼鏡……いや、サングラスだろうか?
そして、背中には漆黒の翼……。
彼は確かに“悪魔”だった。
悪魔はズボンのポケットから携帯を摘むように取り出し、操作している。
「ふむふむ……。えーと……、男の方がソラ君で女の子がアカリちゃんだね?」
「!」
「……貴方が、悪魔?」
朱理の質問に、男は携帯をズボンにしまいながら笑みを浮かべた。
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