297人が本棚に入れています
本棚に追加
と、その時だった。
突然激しい水が弾けるような音がして、俺は慌てて振り返った。
「なっ!?」
「おっ」
そこには、突如俺の真後ろからまるで生きているかのように水の竜が、アスタロトの放った火の玉を喰らい尽くすようにして出ていたのだ。
勿論、竜と言うのは比喩であって実際は筒状のようになっている物凄い水流なのだが…。
「……もうこれで火の玉は効かないんだからね」
振り向くと、噴水の中に入り携帯を構えている朱理がいた。朱理は不適な笑みを浮かべ、アスタロトを見据えている。
「……なーんだ、アカリちゃんは、もうその能力の特性に気付いたんだ」
「……特性?」
「そ。特性。能力には得意不得意があるんだよ。アカリちゃんの能力、『複写(コピー)』は生きている物は複写出来でも自在に動かせない。逆に意志がないものは無限に複写しながら自在に動かせるのさ」
アスタロトはガムをまた膨らませながら答えた。
最初のコメントを投稿しよう!