悪魔の鎮魂歌

22/27
前へ
/190ページ
次へ
すると、どうだろう。噴水の水が急激に溢れ、地面から天に向かって水の柱をいくつも作り始めたのだ。 水の柱は物凄い水流で渦を巻き、まるで生き物のようにうねり始めた。 さすがのアスタロトもこれに当たればひとたまりもないだろう……。少し触れただけでも肉が裂けそうだ……。 「……チッ」 飛んでいたアスタロトの前を遮るようにして水の柱は動き出す。まるで意志を持っているかのように。 勿論、それは比喩であって全て朱理が動かしているのだが……。 「青空!」 「わかってるさ!」 そう。俺が狙うのはたった一瞬だ。 当たらなくても構わない。 ……乾いた音。 水の柱を避けるのに集中していたアスタロトだが、一瞬にしてその弾に気付きギリギリ体を反らせて避ける。 しかし、その先には水の柱。 「ぎゃあぁぁぁぁぁ……!!」 水の柱に飲み込まれたアスタロトの断末魔が辺りに響く。 水の柱が、一瞬にして毒々しい紅に染まった……。
/190ページ

最初のコメントを投稿しよう!

297人が本棚に入れています
本棚に追加