休息

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「……まだなのか?」 「うん。まだだよ。何処に行けば良いのかわからない今、動くのは得策じゃない」 「……わかったよ」 雪の言葉に渋々と言った様子で武琉は戻って来た。どうやら雪には従順らしい。 そして、ふと雪が俺達を振り返る。 「青空君、朱理ちゃん。傷の手当てくらいしたらどうかな?」 「いや……、したくても道具が……」 俺の言葉に、コテンと首を傾げる雪。金の髪がゆらゆらと揺れる。 と、そこに武琉が口を挟んできた。 「馬鹿じゃねぇ? 救急セットが携帯に入ってたじゃねぇか。まさか確認もしなかったのか?」 「救急セット? 携帯?」 武琉の言葉に俺は悩む。携帯に救急セットが入っている、とはどういう事なのだろう? と、朱理が何かを思い出したように手をポンッと叩いた。
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