休息

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「そうそう。うっかりしてたよ。救急セットがあるんだった」 そう言うと朱理は携帯を取り出し、ボタンを弄り始めた。俺には武琉の言った言葉の意味が分からず、首を傾げるしかない。 「……あ、あったあった。コレだよコレ!」 朱理は独り言のようにそう言うと、携帯を前に翳して決定ボタンを押した。 すると ――ポンッ と、軽快な音を出して目の前に救急セットが現れたのだ。うん、確かに救急セットだ。 しかし……、いったい今何が起こったのだろうか……? 「これはね、最初から参加者1人1人に配信されてる道具だよ。簡単な怪我ならコレを使うだけで一瞬で治るらしいの」 「へぇ……。……なら俺にもそれがあるのか?」 「うん。探してみて?」 朱理に言われるがまま携帯を操作していく。すると、確かに救急セットがあった。取り敢えず具現化してみようとボタンを押そうとした、次の瞬間。 「……充電が切れた」 そう。俺の携帯の充電が切れ、電源が落ちたのだ。
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