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何秒、何十秒か経ったあと、光はゆっくりと治まった。俺は瞑っていた目をゆっくりと開ける。
すると、そこに広がっていたのは――……。
「……すっげぇ……」
見渡す限り何処までも続く広い草原地帯。透明感漂う綺麗な小川。空を優雅に舞う小鳥。小さく、可憐に存在を主張する色とりどりの草花……。
それは、さっきまで俺のいた狭い部屋なんかじゃなくて……。
「リアルだなぁ……」
これが体感型携帯アプリだなんて誰が信じるのだろう。そんな世界だった。
どうやってこの世界を視ているのだとか、何故ゲームなのにリアルに触覚や嗅覚が働くのか、など、そんなことはどうでも良い。
今はこの世界を満喫したかった。こんな機会、もう二度とあったものじゃないだろうしな。
――その時だった。
「……ん?」
また携帯のメール受信メロディーが鳴り響いた。……そう言えば、何で俺はゲームの世界なのに携帯を持っているんだろう? そんな疑問を持ちつつ、俺は携帯を開いた。
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