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むかしむかしあるところに、とても馬鹿な娘がいました。
娘と呼ばれる程年月を重ねたというのに馬鹿な娘は読み書きはおろか、言葉すらも不自由で、仕事もろくにできませんでした。
村の娘たちが糸を紡ぐなか、馬鹿な娘は唄にもならぬうめきをあげ、糸巻きの真似ごとをしているのです。
馬鹿な娘はほんとうに馬鹿だったので、身分あるお嬢さんのドレスをやぶいてしまうこともあれば収穫した麦を肥溜めにほうりこんでしまうこともありました。
村人達は怒ったり、悲しんだり。
けれど馬鹿な娘を責める人は誰もいません。
皆、馬鹿な娘をちらりと見て、ため息をつくだけでした。
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