圧する者

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バイトは早くに辞めてしまった。 もちろん円満退職。今でもそのショップでリクガメのフードを購入している。     数年ぶりに会った友人と連絡をとり、さっそく家に訪問することにした。 積もる話も、飼育している爬虫類も… 胸がいっぱいでしかたがない。   友人は特に蛇を好んでいた。 蛇が苦手だと話すと 「うちのをさわれば大丈夫さ!」 どれだけ蛇が良い生き物か、誤解が多いか。そして、自身の飼育している蛇がいかに安全かを熱く語っていた。     飼い主の言う大丈夫ほど危険な事は無いものだ     そう思いながらも、友人が可愛がって大切にしているものを嫌がるわけにもいかないし…     いろんな思いを胸に、爬虫類部屋に通された。   開口一番よりも早く、友人は一匹のボールを引っ張り出して、私の手にねじこんだ。   ごわあぁぁァァアああっ(汗)   動揺を隠せないまま固まっていると ボールという名とはうらはらな、やけにまったりと…いや、くんにゃりとした、ボールパイソンが手の上にいる。 指の段差に頭を乗せて、まるで枕のようだ。   …カワイイ。なんてカワイイんだ。仔犬のようなカワイイ姿に私は殺された。蛇と距離のある私が死んだ瞬間だ。   友人は次々に蛇を抱かせてくれた。   私のココロから不安はほとんど消えていた。蛇のすばらしさを存分に噛み締めたのだ。   そろそろなれた?大きいのいっとこうか!   私も友人もかなりハイテンションだ。   …が。   端っこの方に置いてある衣装ケース。その中の大きい黒っぽい存在。   大蛇だ。   生まれて初めて近付く脅威。 おもむろに引っ張り出されたソレは迫力満点!アダルトサイズの「ボア*コンストリクター」様だった。   肩からかけてもまだ有り余る身体。 その息遣い。 しなやかで引き締まった筋肉がゆったりと這う。       私は   友人を拝み倒し   その大蛇を譲りうける事ができた。     それが初めての大蛇   わたしの 世界で一番の大蛇となった。   わたしのものimage=157082803.jpg
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