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夜半の刻。
人々は家に籠り、人気はほとんどない。
藍色の水干(すいかん)を着た背丈の高い者が静かな街路をゆっくりと歩く。
上から衣を被っているため、顔は見えない。
半月が夜空に構え、沢山の星が美しく輝いている。
月明かりだけが地を微かに照らしていた。
男はふと足を止めた。
静寂を破り、強い足音が近づいてくる。
男は身構えた。
(二人、否、三人か……)
予想通り、三人の男が角から現れた。
三人の持つ松明が賎しく光る。
オカッパ頭で体格の良い男が一人、小柄な男が二人だ。
体格のいい男が一人だけ太刀を携えている。
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