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「今は余り時間が無いから、簡単に説明するがね……」 岩間は座っていた椅子から少し腰を上げ、深く座り直してから、膝の上に肘を置き、両手を組んで話しはじめた。 「今から約2ヶ月前、富士の樹海にあった旧陸軍施設の跡地で新型のペストを米軍が発見した。 しかし現場周辺で既にバイオハザードが発生していてね、どうにも手におえなくなり米軍は樹海を爆撃。 現場で感染した米軍兵士1名と、偶然現場にいた自衛官2名を連れ現場から脱出した」 「じゃあ2ヶ月前にあった、樹海の落雷による大規模火災って米軍の爆撃による火災だったんですか?」 松阪の問いに岩間が頷く。 「そうだ。 その後現場は現在も、地元警察と自衛隊によって閉鎖、管理されている。 そして、この事件をきっかけに米軍、厚生省、自衛隊が合同でタスクチームを作った。 私は防疫チームのリーダーとして、ココ、市ヶ谷駐屯地内に新設された疾病防疫センターに招かれた。 ここまでで何か質問はあるかね?」   「そのペスト患者は本当に、新型のペストに感染していたんですか?」   松阪が尋ねる。   「残念な事にね・・・・ 感染者の血液と、先に感染して死亡したアメリカ兵の血液から採取した生菌と比較した結果、同じ新型ペストだと判明したしだいだ」   「その女性、発症してからどの程度活動していたんでしょうか・・・・」    続いて浅井が尋ねた。   「免許証から住所が確認できてな、現在彼女の住いに警察と自衛隊の医官、USAMRIIDの職員が向かっているところだ」    岩間は大きくため息をつき天井を見上げた。   「ちなみに私も新型ペストに感染している可能性がかなり高い。 幸い潜伏期間が長い様なので今日発症する事は無いが、正直な所早いところ隔離施設に移りたいと思っているんだ」    「岩間教授・・・・」   浅井が呟く 松阪は重くなった場の雰囲気中口を開いた。 「そりゃあ早く隔離施設に入った方が良いとはおもいますけどね・・・・ 岩間教授・・・・ 貴方は防疫チームのリーダーなんでしょ?」    「ん、そこでだ」   岩間は視線を松阪にむけた。
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