10/28
前へ
/49ページ
次へ
女は真剣な眼差しで言う。 それに一瞬驚いたようだったが直ぐにいつもの笑みを浮かばせ 「それは出来ないよ。」 と告げた。 「なんでッ?!うちとでは…嫌?」 女はすがり付くように着物を掴んだ。 その手に山南の一回り大きな手が重なる。 「私はね…新撰組総長だ。その私が法度を破るわけにはいかない。」 「そんなこ「それに…」 いいかけた女の言葉に自らの声を重ねる。 「私か切腹する事で新撰組の何かが変わる気がするんだ。私は…それを見てみたい。」 「…ッ…何故それが山南はんやの?!変わりなんていくらでも…」 「いや、私でないと駄目なんだ。それに…逃げた所でただ時を引き延ばすだけさ。何より君にも危険が伴うからね…それは一番避けたい。」 「うちなら大丈「すまない。」 またしても言葉を塞がれた女は畳みに視線を落とした。 .
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

128人が本棚に入れています
本棚に追加