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女は真剣な眼差しで言う。
それに一瞬驚いたようだったが直ぐにいつもの笑みを浮かばせ
「それは出来ないよ。」
と告げた。
「なんでッ?!うちとでは…嫌?」
女はすがり付くように着物を掴んだ。
その手に山南の一回り大きな手が重なる。
「私はね…新撰組総長だ。その私が法度を破るわけにはいかない。」
「そんなこ「それに…」
いいかけた女の言葉に自らの声を重ねる。
「私か切腹する事で新撰組の何かが変わる気がするんだ。私は…それを見てみたい。」
「…ッ…何故それが山南はんやの?!変わりなんていくらでも…」
「いや、私でないと駄目なんだ。それに…逃げた所でただ時を引き延ばすだけさ。何より君にも危険が伴うからね…それは一番避けたい。」
「うちなら大丈「すまない。」
またしても言葉を塞がれた女は畳みに視線を落とした。
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