128人が本棚に入れています
本棚に追加
「…そんなん…嫌や…」
微かに嗚咽をもらしながらもすがり付くように哀願する。
抱き締めるその肩が、何時もより小さく見えた。
「私はね…壬生狼の頃から、この命を捨てていたんだ。この時世…いつ朽ちてもおかしくないからね…」
女は顔を上げようとしない。
「でもね…君と出会って生きて行かなければと思うようになった…。」
山南は更に続ける。
「今だって…とても怖いんだ。死に対するものでなくて…君の笑顔が見れなくなってしまうことが…」
.
最初のコメントを投稿しよう!