『繰り返す…?』

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「どうかした?」 ぼんやり心ここに有らずな感じの海斗に首を傾げると、彼は少し考えた後、静かに口を開いた。 「…やっぱり、……しばらく舞チャンに会うの控えようと思う」 「……え…?」 いきなり鈍器で頭を殴られたような衝撃に襲われ頭がクラっとした。 さっきまであんなに楽しくて、フワフワした気分だったのに、いきなり冷や水を掛けられ現実に引き戻された様。 目を見開いて食い入るように見つめる私に、海斗は少し笑って俯いた。 「…僕が近づかない事で舞チャンに対する風当たりが少しでも弱まるなら…」 「言ったじゃない!…そんなの平気だって…」 感情だけが先走り、じんわり視界が歪んでいた。 「…そんなのヤダよ!!」 ギュッと唇を噛みしめ立ち尽くす私に海斗は困ったように笑うと、「ちょっと話そうか」と言って、私の手を引き少し先にあったあの公園に向かった。 いつの間にか辺りは暗闇に包まれていたけれど、話をしないままではいられない。 促されるままベンチに座ると、隣に座って俯いていた海斗が小さくため息を吐いて口を開いた。 「…さっき言ったの…、…嘘」 「嘘?」 「うん、…半分ね」 「…半分…?……どういう事…?」 今にも泣き出しそうな私を気遣うように、彼は優しい口調で言う。 「…正直、ダメなんだ…」 自嘲気味に笑う海斗の意図が分からなかった。 だけど、私と離れたいという事実は変わらないみたいで嫌な胸騒ぎが止まらない。 息を飲んで食い入るように見つめていると、彼は辛そうに顔を歪めて俯いた。 「――耐えられないんだ… …君が違う男と一緒にいて、触れられて… …僕はこんなに近くにいるのに抱きしめる事も…手を繋ぐ事すら許されない…」 「!!」 息が止まるかと思った。 私が愕然とする中、海斗は俯いたまま話を続けた。 「…近くにいればいるほど気持ちは膨らむ。 誰よりも近くにいたい。 …だけど、無理…だから…」 「…………」 なにも答えられなかった。 …恋人にはなれない… だけど、友達としては側にいたいのに… 海斗君もそれを望んでくれたのに… …でもそれが海斗君を傷つけて…? いつのまにか零れ出した涙が、スカートにいくつもの小さなシミを作っていた。 .
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