捨て猫

再開

「やっぱりケンなのね？」

「すいませんどちら様ですか？ 」

俺がそう言うとその女性は少し悲しそうな顔をした。しかしそれは一瞬で、すぐに元の顔に戻ると言った。

「私の名前は亜紀(ｱｷ)。」

亜紀…？

俺はその名前の人を、たった一人しか知らなかった。

その人は俺の母さん…、亜紀。

「母さん！？」

俺はどうしていいか分からず、とりあえず母さんと言ってみた 。