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俺が風呂場を出ると、それに続いて猫も出る。 身体を拭き、髪を乾かす。 身体を拭き、毛並みを乾かす。 そしてリビングへと移動する。そこを見ただけで俺が一人で住んでいることが分かるようだった。 使ったままの食器、蓋が開いているが、まだ中に入っているペットボトルのお茶。脱ぎっぱなしの服。……。 今の俺の心境は、急に彼女が来て、こんなことならちゃんと片付けとくんだった…、という心境と似たようなものだった。 後で片付けるか…、と開き直り、俺は冷蔵庫を開ける。だがすぐ閉めた。 「猫はやっぱキャットフードかな?」 俺は店に買いに行こうとすると、それを止めるかのように、猫は俺の右足にしがみついた。
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