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「これは街外れにある川にある石なんです。なかなか見つけられないんです。」
「へぇ、なんかジンクスでもあんのか?」
「はい。これを身につけてると幸せになれるって言われてるんです。」
握り締めたそのネックレスを大切そうに見つめるイナン。
「……思い入れでもあるの?そのネックレスに。」
ディアが少し首を傾げながら聞いた。
「いえ……別に何にも無いですよ。」
少しだけ悲しそうな笑顔を浮かべた。
「なぁ、それよりお前どうするんだ?」
ライはイナンに聞いた。
「そうですね。あの兵隊はトリント国の……。トリント国へ行こうと思います。」
それを聞いてディアは少し顔を曇らせた。
「何をしに行くの?」
「えっ…、それは…。」
ディアにそう聞かれてイナンはどもった。
「"王"を恨むのは勝手だけれど、一人では危険だと思うわ。」
「ディア。どうしたんだ?」
イナンは黙っている。
「…私も王に用があるのよ。一人じゃ危険だけれど、一人じゃなければどうにかなるかもしれないわ。」
ディアは少し微笑んだ。
「一緒に行かない?」
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