出会い。

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暗い街。 その表現が何よりもこの街をよく表している。 昼にもかかわらず人通りも少なく、 歩いている人はみんな下を向いている。 話し声もトーンが低く顔色も暗い。 この街に色があるとすれば汚い灰色。 快晴の空も暗くしてしまう色。 そんな色に染まっていない場所といえば、 時計台の周りである。 学校や広場が集まっていて 汚い灰色に染まりきっていない子供が集まる場所である。 昼なら明るい笑い声が響く。 子供しかいない時計台周辺には大人は寄り付かない。 汚く染まってしまった大人はひどく目立ってしまうのだ。 大人と子供がはっきりと分かれてしまった街。 少なくとも10歳の私はそう思っていた。 ある日、私がいつものように学校の帰りに広場にいくと、 ばらばらに遊んでいる子供が一箇所に集まっていた。 近寄ってみてみると誰かがいた。 男か女か、大人か子供かさえもわからない人。 白黒の衣装に落書きしたような白黒の顔。 そのくせ、何色なのかわからない雰囲気である。 そこに集まった子供を笑わすだけ笑わせていた。
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