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― コンコン
「瑞希、入るよ」
優しいトーンの声が扉の向こうから聞こえてくる。
間も無く入ってきたその人は、まっすぐに私のほうに向かってきて、微笑む。
そして
「瑞希…」
消え入りそうな声で、私を抱き締めた。
それは、壊れ物を扱うように優しくて、
それは…消える物を扱うように力強くて
「しょ…翔太…?」
まるで、私が今にも消えてしまう物の様に
まるで、私が今、生きているか確認する様に…
私を優しく、暖かく包みこんでくれる翔太。
できるならこのまま…時間が止まってしまえばいいのに…――
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