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「ふぅ…」
落ち着いた…。
自分も、ドラゴンもである。深い傷はやっぱり右目。包帯で一通りガーゼを固定して、あとは切り傷なので塗り薬を塗っておいた。たまにドラゴンが唸るからビクビクしながら手当てをしたのだ。
「…息してる。うん、生きてるね、アンタ」
規則正しい呼吸が聞こえる。血で塗れた鱗は綺麗な銀色に戻り、硬い体からはちゃんと暖かさがある。ぬいぐるみサイズなのがまた可愛い。
「よく寝てね。あとは熱…出ると思うけど、頑張って」
ドラゴンを柔らかなソファーに寝かせ、私は立ち上がった。ほんとは休憩したいけど、まだ私にはやることがあったから、それからだ。
「……この窓、まず塞ごう」
ヒュー…と音を立てて、冷たい風が吹く。窓は片方がほぼ全部割れて、外の景色が丸見えだ。
寒い。かなり、寒い。
「業者の人に頼まないと…はぁ」
ガラス代…いくらだろ。
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