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――独りの夜がやってくる。
私の両親は大きな会社の社長と、有名女優という忙しい家系だ。私は小さいときからお婆ちゃんの家に預けられたり親戚のところに住んでいたり、両親とはあまり家族と言える時間を過ごしたことはない。
淋しいときもあるけど、私は働いている父を、母を尊敬している。ましてや母は女優という憧れの存在で、出てるテレビはかかさず見るほどだ。
私も早く働きたい。
立派な大人になりたい。
両親の背中は大きく、遠い存在だが、私の憧れだった。
高校に入学を機に、仕事(バイト)ができる喜びを知り、バイト代で一人暮らしを両親に提案してみた。
さすがに最初は反対されたが、お婆ちゃんは他界し、親戚にお世話になりっぱなしも正直嫌だったこともあり、たまにある両親の休みは必ず一緒に過ごすという約束で、バイト代プラス仕送りで一ヵ月くらい前からアパートに住むことになった。
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