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大パニックの私は、動いている尻尾が何か確認したくても腰が抜けて立てない。しかも、破片の側に血がたくさんついていたことにも驚いた。
ごくっ、と生唾を飲んでしまった。腰は抜けているが、はいつくばることは可能だ。
こんな窓ガラス割れた状況で過ごすわけにもいかないし、女は度胸よ…!!
小さく動くそれは、決して暴れるわけでもなく。
鮮明な血が飛び散り、動くそれから流れていることがわかった。
ゆっくり、ゆっくりとカーテンを退けて、私はその実体を見たのだった。
『ヴヴッ…』
弱々しく鳴く生き物。
―――それは
「…ド、ドラゴン…?」
私の知ってるかぎりの知識、本で見たものを掻き集めてできるだけ現実の生き物で例えようとした。
けれど、どこからどう見てもこの生き物はドラゴンだ。
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