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艶のある光沢を持つ銀色の鱗が全身にあるのだが、体も尻尾も翼も、痛々しく傷があり出血していた。
体の大きさは、普通に抱き締めることができるくらいで、ドラゴンというよりミニドラゴンだ。
っ…本物?
本物、偽物の問題も大事だが、それよりも傷がひどくて瀕死状態だ。
「動物の世話なんてしたことないのに…!ちょっ、ちょっと待って、救急箱…!」
そのドラゴンの全身の傷は浅いように見えるが、一番ヒドイのは右目から流れる血だ。
窓はもちろん後回し。
動物…というより、この世に存在するはずのないドラゴンの、傷の手当てが先だった。
まずは消毒?止血?
「あぁぁあああっ、どうしようどうしようっ…」
落ち着け落ち着け。
大パニックすぎて私は半泣きだ。あんなに多量な血を流す生き物の手当て、私がしていいのだろうか。
今からでも動物病院に連れていった方がいいのだろうか。
『―――…ッ』
「あっ、こら、動かないで!」
できるかぎり、やってみよう。
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