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「ところで、岡宮。」
ひとしきり諒人に八つ当たりを終えた沙羅は、彼女のボディガードの方へと向き直る。
「なんですか?」
「なぜ、学校の敷地内にいるんだ?
この中は大丈夫だと言ってあっただろう?」
「あなたが私をまこうとしなかったら、ここまで入らずにすんだんですけどね。」
沙羅の問いかけに、岡宮は短くため息をついた。
「お弁当、お忘れです。」
そう言って、お弁当が包まれた袋を取り出した。
「あぁ、そうだったか。
ありがとう。」
あわれ、屈強なボディガードは、お嬢様の忘れたお弁当を届けるために出動したのだった…。
「それから」
岡宮はお弁当を渡すと、サングラス越しに沙羅を見る。
なかなかの迫力だ。
「な、なんだ?」
岡宮の迫力にさすがの沙羅もたじろいだ。
「あまり私達に心配させないで下さいね?」
「わ、わかった。努力する。」
言い方は丁寧だが、岡宮の口調には、沙羅をも黙らせる力があった。
「それでは、私は外で待っています。」
岡宮がそう言って、教室を出て行こうとした時――…
「岡宮さんも一緒にいればいいんじゃない~?」
このお気楽な声の主は
隼人だ。
「「はっ?」」
岡宮と沙羅が同時に隼人の方を見る。
「ねっ!」
お気楽な猫目は、首をカクンとかしげて、にへらっと笑った。
岡宮とは別の意味で、有無を言わせぬ説得力のあるこの言葉で、今日1日クラスメイトが増えることになったのだった。
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