テイクタイム

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【11月4日:麻紀と初めて会う】 中村理沙と付き合い始めたのは5ヶ月くらい前だから、6月初めくらい? 5月末に綾乃と別れてたっていうことを俺の口から言った覚えは全くないのに、1週間もしない間にみんな知っていた。 同じ学校のやつと付き合うとその辺がめんどくさい。 隠したところで筒抜けだ。 その噂を速効嗅ぎつけたリサに猛アタックを繰り返された。 「つらかった恋はすぐ忘れて、新しい恋した方がいいよ」 「なんでもリサが聞いてあげるから」 「うちら付き合ったらベストカップルじゃない!?」 「リサにはキイチ君以上に釣り合う人がいないんだよね」 つらい恋って誰が言った!? 綾乃については99%俺が悪かった。女癖の悪い俺に付き合いきれる子じゃなかったから。 そういう意味じゃ、リサとの相性はちょうどいいのかもしれない。あいつはきっと、俺と付き合ってる自分が好きなんだ。 半ば強引に俺たちは付き合うことになった。 そんなこと言っても、リサはかなり可愛い部類に入るだろう。 元の顔が切れ長で整ってるし、派手めのメイクもうまい。 うちの学校みたいに女を捨ててる女子が半分いるようなとこじゃ、メイクもできるリサがアイドルになれるのは間違いない。 しかも親がナントカ重工っていう大きい会社の重役らしい。完璧なお嬢様だ。 だからプライドがものすごく高い。 確かにリサと釣り合うような男はこの学校じゃほとんどいないだろう。
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