テイクタイム

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「和音―、キイチだよ!覚えてる?」 「当たり前じゃん、忘れらんないよ」 「やべえ、俺、和音ちゃんの忘れられない男だわ」 「あはは、どういう意味?」 営業トークみたいな?とりあえずマニュアルみたいな会話のキャッチボールをするのだが、なんだか落ち着かない。 二宮和音の後ろにいる子はまだしゃべっていない。 曲がボリューム低めなため、会話がうまくつながってる。 その子が何かしゃべればすぐ拾えるが、うるさい曲がかかると難しくなる。 今のところまだ、ファーギーが歌っている。 「キイチ君もあたしのこと覚えてる?」 「超覚えてる!髪型変えたっしょ?」 「そうだっけ…?」 やばい、全然覚えてない。 1か月くらいは学校休んでるから、それ以上前なんて覚えてねえよ! それにしても、あの子、俺の方ばっか見てる。 時々リサも見ているのだが、明らかに俺の方を見てる。 まじまじ見られるのは慣れてるほうだと思う、特に女の子には。 てことは、けっこう行けそうなのか? 「1学期の期末試験の後、和音たちとお昼食べにいったじゃん。キイチ絶対忘れてるよね?」 「松屋だろ?」 「ガストだし!マジありえない!」
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