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階段を上り、2階奥の教室へ進むと、入口近くで森田が幸雄とだべっている。
俺が近付くと二人とも驚いた顔になり、次に何を言うかすぐ分かる。
「うおお、キイチが学校来た!」
「モリ、超おはよう」
「クリちゃん、やべえ、キイチ来たよ」
森田と一緒に教室に入ると、中のやつらがざわつく。
うん、これが気持ちいいのよ。
「キイチよお、久しぶりじゃねえか。何しに来たんよ?」
「クリちゃんに会いにきたに決まってるじゃんか」
「マジで?俺、冗談通じないよ?お前のこと好きになっちゃうよ?」
「好きになって」
「チューするか?」
んー。
「バカ!お前よぉ、マジでしようとすんなよ!」
バカな男どもと戯れながら自分の席にバッグを下ろすと、平田奈津子が話しかけてくる。
「キイチ、学校来るなんて珍しいね!雪か熱が降るんじゃない!?」
「熱がふるってどんな状況だよ。あ、そうだ、奈津子てめえ、俺バイトなんかしてねえよ!」
「何?なんのこと?」
「っざけんな!お前、俺がバイトしてるって言いふらしたらしいじゃん!」
「ああ、違うって。どうせリサに聞いたんでしょ?」
「何が違うんだよ」
「あたしね、10組の二宮和音と仲いいの。でね、和音が駅前のマックで顔はいいけど態度が超悪い店員を見たんだって。あたしが絶対キイチだって爆笑してたら、1組の誰かが聞いてたみたいで、勘違いしてあたしがマックでキイチ見たことになってんの」
「俺、態度悪くないだろ」
「それもそうだよね、てか学校サボってバイトなんてキイチくらいしかあり得ないじゃん」
「俺でもあり得ないよ」
…そういえば、
「リサと二宮和音って仲良かったっけ?」
「いやー、中学同じってだけであんま絡んでなくない?」
「そっか」
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