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武道家である父は様々な武道を極め数多くの弟子を持ち、そんな父と茶道の名家に生まれた母との間に生まれたのだ、幼い頃から文武両道だった筈だが。
馬鹿を見ない様に先を先をと勉学を叩き込まれ、またそれが終れば茶道作法や父の扱きが待っていた。
別に嫌だった訳では無いし、寧ろ楽しかった。
学校は退屈な物へと変貌していったが。
「明日、黒岐南の入学式だぞ?」
別に高校にこだわりは無いが、既に入試試験どころか入学式自体始まる時期だ。
今更言われてもどうしようもない。
「峯櫻学園の入学式は明後日です。明日学園へ出向き試験を受けて来なさい。」
そのまま入寮して構いませんから、と平然と述べる母に俺は頭痛を覚えた。
この人はこういう人だよ。
こうなったこの人には何を言っても通らない。
俺は了解の返事をし、部屋を後にした。
「……」
寝間着の袖中から携帯を取り出し迷わず一人に連絡をする。
「…白虎か、今から集めれるだけ収集してくれ」
短くそれだけを言えば携帯をパタリと閉じ自室へと向かった。
あいつ等なら大丈夫だ。
俺が居なくてもやっていける。
俺はまだ湿った髪を掻き上げた。
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