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季節はめぐり
何度目かの春がきた
まだ総司は生きている
今年も共に桜を見ることが出来る
しかし、幾度かの春を越えた総司の体は
いつ何が起きてもおかしくなかった
このままずっと、なんて考え…
総司はとても痩せた
それは誰が見ても一目瞭然だった
もう、刀を振ることすらままならなかった
「京の桜もよかったが、やはり江戸の桜がいいな」
「そうですか?私はどちらも好きですけどね」
「そうか」
「……それにしても、寂しくなりましたね」
ほんの数年前まで
笑い声の絶える事のなかったお花見
でも今年はたったの二人
ほんの数年前まで共に桜を見ていた仲間たちは
次々と死んでいき、そして離れていった
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