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その数日後、俺はアイツに呼び出され
アイツの病気のことを話された
病名は〈肺結核〉
治ることのない
赤い不治の病
信じられなかった
「冗談……だろ?」
「…そうだったらいいのですが…」
そう言った総司の顔には、少し困ったような笑顔が浮かんでいた
「……土方さん」
「ん?」
「最近思うんです。
どうせ死ぬなら桜の散る頃に死にたいなあって」
咲きかけた花を眩しそうに見ながらアイツは言った
その横顔は切なくて大人びていて、でもどこか幼げで……
アイツのその姿は薄桃色の花と重なった
「医者には、桜が咲く迄はもたないだろうって言われました」
サァァ―――
風が二人の髪を揺らす
「まさか病で死ぬなんて、思ってもみませんでしたよ」
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