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「……」
「今まで黙っていて、すみませんでした」
「…いつからだ」
「池田屋の時からです」
「そんなに前からだったのか…」
「…すみません」
長い沈黙が訪れる
その沈黙を破ったのは土方だった
「…一つ、聞いていいか」
「はい」
「なぜ、桜の季節なんだ?」
「私のような人斬りは
綺麗な死に方はできないだろうと
いつも思っていました
でも、まさか床の上で死ぬかもしれないなんて…
それに、いざ自分の死期が分かったら
どんどんこの世に未練が出てきてしまって…
そんな時
桜を見て
ふと思ったんです…
桜のように潔く散れたらなぁ、って…」
「…そうか」
「………」
「……なぁ、総司
桜は何故潔く散っていけるのか知ってるか?」
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