13人が本棚に入れています
本棚に追加
そこまで言うと、浩紀は普段とは違う、柔らかな笑みをうかべた。
「それに、独りじゃない。頼りになる親友がいる。俺は、お前を信じてる。だから、大丈夫なんだ」
そんな浩紀を見て、和也も冷静になることができた。
(当たり前だ。浩紀だって同じ状況なんだ。不安じゃないわけがない。なのに俺は……)
「浩紀……ごめん」
和也は自分の不甲斐なさに俯き、肩を震わせた。
しかし、返ってきたのは、
「バーカ」
という声だった。
顔を挙げると、そこにはいつもの無邪気な笑顔をうかべる親友の顔があった。
「なに謝ってんだよ?せっかく二人なんだ。支え合ってなんぼじゃん。今までどうりだよ」
そう言って笑う浩紀に、とても救われた。
(ありがとう……)
和也は口には出さずに、心の中で呟くと、意識を切り換えた。
「あぁ……でも、まずはこれからどうするかを決めないとな」
「じゃあ、ひとまず歩こうぜ。そうすれば、誰かいるかも知れないし、ここも見れるじゃん」
「そう……だな。ここにいたってしょうがない」
「決まり~。それじゃあ、レッツゴー」
そして、妙にテンションの高い浩紀と、和也は前へと歩き始めた。
最初のコメントを投稿しよう!