第二章

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「ここにいてもしかたないし、行ってみようぜ。もしかしたら、何か話を聞けるかもしれない。」     そう言うやいなや、浩紀は小走りで向かう。     (……しょうがない奴だな。もう少し落ち着いてもいいだろうに。)     そんな事を思いながらも、何も言わずに浩紀を追った。     広場から直接向かったため、道などが在るわけもなく、ガサガサと音を鳴らしながら、草木を掻き分けて進む。   気分はさながら、水音を聞いた遭難者だろうか?     そんなことを考えていると、前にいる浩紀が止まった。     「どうしたんだ?」     そう言いながら草影から覗くようにして、向こうを見ている浩紀と並ぶように移動する。     (相変わらず小さいな……)    ふと、浩紀をみてそんなことを考えるが、決して口には出さない。     口にした瞬間に、肩パンかボディは免れない。   浩紀は手加減しているつもりだが、和也からすれば、けっこう痛かったりする。     浩紀の攻撃は、弱い部分に的確に当たるのだ。     強くではなくとも、腕の筋肉と筋肉の間の溝や、肋骨の無い、脇腹の下の方を殴られるのは誰でも痛いだろう。
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