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「ここにいてもしかたないし、行ってみようぜ。もしかしたら、何か話を聞けるかもしれない。」
そう言うやいなや、浩紀は小走りで向かう。
(……しょうがない奴だな。もう少し落ち着いてもいいだろうに。)
そんな事を思いながらも、何も言わずに浩紀を追った。
広場から直接向かったため、道などが在るわけもなく、ガサガサと音を鳴らしながら、草木を掻き分けて進む。
気分はさながら、水音を聞いた遭難者だろうか?
そんなことを考えていると、前にいる浩紀が止まった。
「どうしたんだ?」
そう言いながら草影から覗くようにして、向こうを見ている浩紀と並ぶように移動する。
(相変わらず小さいな……)
ふと、浩紀をみてそんなことを考えるが、決して口には出さない。
口にした瞬間に、肩パンかボディは免れない。
浩紀は手加減しているつもりだが、和也からすれば、けっこう痛かったりする。
浩紀の攻撃は、弱い部分に的確に当たるのだ。
強くではなくとも、腕の筋肉と筋肉の間の溝や、肋骨の無い、脇腹の下の方を殴られるのは誰でも痛いだろう。
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