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ここは、とある県の体育館だ。
そこでは今まさに、剣道の全国大会の個人戦決勝戦が行われていた。
一人は身長は190cmはあるだろう長身に広い肩幅。決勝戦に残るだけあって、とても強そうだ。
もう一人の方は身長は160cmほどの小柄な体格である。
「延長だ。頑張れよ浩紀!」
チームメイトの声援が背中を押す。
小柄な青年……森浩紀(モリヒロキ)は無言で頷き、前に進む。
『お願いします!』
互いに礼をし、構える
「延長始めぇ!!」
「やぁぁぁ!」
主審の開始の声とともに、相手は、その大きな体格から、空気を震わすほどの気合いを叫びながら竹刀を上段に構える。
浩紀は、中段よりもやや高めに構えた。
決勝戦だということもあり、会場は水をうったように静まっている。
そんな中、二人は牽制や、フェイントを織り交ぜながら、徐々に間合いを縮める。
そして、間合いに入ったのか、まるで静寂を破るように、相手は上段の竹刀を勢いよく浩紀の頭に振り下ろす。
バシィ
しかし、浩紀はそれを竹刀で防ぎ、鍔競り合いに持ち込む。
浩紀は、流石に体格差があるため、上から潰されないように、足を使い左右に移動しながら鍔ぜり合う。
そして、素早く後ろに下がりながら、相手の左側の面を狙って打ち、距離をとる。
しかし、浩紀の引き面は簡単に防がれ、今度は中段に構えた相手が追ってくる。
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