第一章

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  ……   ガラッ   教室のドアを勢いよく開けて飛び込んだ。     その瞬間……     キーンコーンカーンコーン     SH[ショートホームルーム]始まりのチャイムが鳴り、担任の先生がいかにもかったるそうに入ってきた。   「もぉダメ……」   浩紀は肩で息をしながら窓際の一番後ろの席に着くと、机に突っ伏す。   すると隣から、芸能人でもいけるのでは?と思うほどのイケメンが話し掛けてきた。     「今日は寝坊でもしたか?随分ゆっくりな到着だな」   「ちげぇよ。ちょっと準備をゆっくりし過ぎただけ……」   浩紀は、軽く笑いながら言ってくるそいつに、怠そうに顔だけを起こして応えた。   浩紀に話しかけてきたのは、浩紀の親友である服部和也[ハットリカズヤ]だった。     髪は黒で鼻まである前髪を左右で3:7位で別けてながしている。 トップは軽く浮かせて、前髪と同じようにながしており、肩辺りまである髪を外側にはねさせている。   切れ長の目に高い鼻、輪郭も整っている。 身長は178cmあり、立つと浩紀は軽く見上げる形になってしまう。     「高校剣道日本一がそんなことでいいのか?今のお前なら俺でも勝てるぞ」   和也はフッと鼻で笑いながら言ってくる。   「剣道だけでは負けねぇよ」   それに対し、浩紀はニカッと笑って応えた。   「まぁ、他が全て勝ってるからな、少しくらい勝ちを譲ってやる」   和也はそう言って鼻で笑ってくる。   「うっせぇ!だいたいお前は……」   などと喋りながら二人は担任の話を聞き流していた。     担任も、二人を完全にスルーしながら、連絡を続けている。   もともと、熱血とは正反対の、あまりやる気があるとは言えないタイプの教師だ。   それでも、連絡事項などはちゃんと言うため、他の生徒はちゃんと話しを聞いている。     聞いてない場合は自己責任と言うことである。     騒ぐ二人、それを呆れたように見ながらも担任の話しを聞く生徒、そして、二人をスルーする担任。     そこには、いつもの日常があった。     ……
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