第一章

7/11
前へ
/53ページ
次へ
  学食はそれほど広いわけでもなく、 食事をする学生達で、ごった返ししていた。   そんな中、隅の方にちょうど二人分の空席を見付け、 トレイを置きながら席につく。   「しかし、今日はよく寝てたな。疲れてるのか?」   和也は注文したうどんを食べながら聞いた。     「別に……疲れてるわけじゃないんだけどなぁ。少し変な夢を見たんだ」   それに、浩紀はカレーを食べながら苦笑いで答える。     「そうか。夢ってどんなのだ?」     「それは……今はめんどいから、放課後にでも話すってことで」   浩紀はニカッと笑いながら言った。   「しょうがない、後にしてやるよ。ありがたく思えよ?」   和也は冗談ぽくため息をつく。   「はは……。ってかお前、放課後大丈夫なんか?部活とか、女の子とか?」   和也はサッカー部のキャプテンしていて、プロからもスカウトが来ていた。     ドリブルのテクニックも凄いが、何よりもシュート力が凄まじい。   体育なんかで、こいつのシュートをくらって何人が吹っ飛ばされたことか…… 思い出すだけで冷汗が出てくる。   浩紀は、ブルッと一瞬だけ体を震わせる。     しかも、顔と頭脳も申し分ないのでかなりモテる。   普段はクールでほとんど無表情だが人付き合いは良い。   だから、帰りは用事があることが多いのだが……
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加