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『お母さん言ったでしょ。
もしも慎が辛くなったら、空を見なさいって』
もう一度こくんと頷く。
『そうしなさい。お母さんのこと、信じて、嫌わないであげて?』
『……うん』
おばあちゃんは目を細めると、
『じゃあ明日の為に、みんなで思いっきり話そっかぁ』
ぽんと頭に手を乗せ、軽く撫でてから立ち上がった。
『慎は、いい子だねぇ。紗英さんが絶対に帰って来るわけよ』
何度も頷くおばあちゃんを見て、慎も笑う。
『うん』
――それが、最後の幸せ、だったのかも、しれない。
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