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「……『特権』」
何??
胸ぐらを掴まれたまま黒頭巾が言う。
「『不慮の事故』、君みたいに交通事故の場合が多いけれど。それで死んだ人は一週間だけ、自分の生きていた世界に戻れる『特権』が与えられる。」
そんなのあるんだ。
「ただし、こちらの姿は見えない。声は届かず、触れられない」
手を離す。
黒頭巾は乱れた胸元を直し椅子に座り直す。
「『特権』を行使して満足して『眠り』についた人もいれば、何も知らずにいればよかったと後悔して『眠り』についた人もいる」
紅茶を飲み一息ついてから、言い放った。
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