遭遇

22/22
2178人が本棚に入れています
本棚に追加
/425ページ
改めて、自宅に帰ろうと校門を出ると流花も「待って」と駆けてきた。 彼女は瞑を直視して尋ねた。 聞きたいことがありすぎて、言葉がうまくまとまらない。 「柄沢君って…」 次の言葉がなかなか言いづらい。 だが、彼女が言いたいことを予測した瞑は明るく答えた。 「見えるよ。幽霊」 流花は目を丸くした。 「…変かな?」 あははと笑うが、どこか寂しそうな瞑に流花は優しく言った。 「そんなことないよ。」 その言葉に救われた瞑は目を細めた。 「ありがとう」 「そういえば…」 瞑は大事な事を思い出した。 「お前、名前は?」 自己紹介がまだだったことを、流花ですら忘れていた。 「藤崎流花。よろしくね、柄沢君」 流花と瞑は互いに握手した。 全ての始まりは、この出会いからだった。
/425ページ

最初のコメントを投稿しよう!