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「よろしくな」瞑は隣の席の少年に言った。
短い黒髪で、爽やかなルックスの彼は「よろしく」と一礼した。
「名前は?」
「千倉燿」
「燿か。俺、柄沢瞑」
「知ってる。今言ってただろ」
燿はあははっと笑った。
なんだこいつ。
初対面でいきなり呼び捨てかよ。
笑顔の裏で、そんなことを燿は思っていた。
この男、実はかなりの腹黒である。
――しかし、さっきの歩みはなんだ。
まるで最初から引っかけられるとわかっていたように、楽々と跨いだ。
偶然か。
燿は息をついた。
その出会いが全ての始まりだった。
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