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流花は誰もいない教室で本を読んでいた。
一人寂しく…というわけでもない。
ただ静かな所が好きなだけ。
図書室も好きのだが放課後は開いていない。
しかしここなら殆んどの生徒が部局に入っているから部活に参加してしまうし、帰宅部はさっさと帰るので誰もいなくなる。
いつもは煩い教室も人が居なければただの部屋。
静かな空間を獲ることができるわけだ。
それにしても、朝の騒がしさが嘘のようだ。
柄沢瞑。
今日からこのクラスの一員になったとは思えないほど馴染んでいた。
いや、馴染みすぎて誰よりもうるさかった。
まるで子供である。
――子供って、環境に馴染むのが早いって言うしね。
流花はそう思った。
子供とは、無論瞑である。
流花はシャイなため、とても自分から話しかけることなんて出来ない。
自分からろくに喋ることがなかったためあまり友達も出来なかった。
代わりと言っては何だが、作り笑いと猫被りは得意になった。
なので、有りのままの自分を出せる瞑が少しだけ羨ましかった。
流花はパタンと本を閉じて一息ついた。
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