〔第1章〕高校生にだって事情があるはず

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「………!?」 空から次々と黒いヘリコプターが計4機降りてきた。 「…撃て」 男の言葉と共にコンテナの上空4方向で滞空していたヘリからマシンガンの一斉射撃が始まった。しかし、コンテナは多少へこんだものの、穴一つ開かない。 「……バンカーバスターNT-2の使用を許可する…」 黒いヘリは射撃を止め、騒音の中ガッチャガッチャいいだした。 その時、ミコトはあのヘリからミサイルが撃たれること、そしてミサイルを使ってまで破壊しなければならないもの…兵器があのへこんだコンテナの中にあるということを悟った。 「そんなことしたら学校が…街が……」 唇を噛んだ。そして、 「そんなこと…させない……させるものか!」 と教室を飛び出して階段を駆け降りた。なかなか勇猛な青年である。 走りながら考えた。 マシンガンで壊れなかったら普通、ミサイルを使うよな。でも、確実に破壊するなら核兵器。しかし、破壊時の放射能の事を考えたら使用は無理…。待てよ?クラスターを使えば…いや、拡散すれば1発の威力は落ちる。いったい何を使うつもりだ…? 考えているうちにスピードが落ちている事に気がつき、考えない事にしてまた走り出した。 「考えなくていいんだ。今は……とりあえずあのコンテナが僕でも扱える簡単な兵器であることを願って走るんだ」 ミコトは3階から…2階…1階へと半ば落ちるようにして降り、こんな時でもちゃんと靴を履き替えてグラウンドへと出た。 …良かった。まだミサイルは発射体勢に入ってない。今なら…… ミコトは隠れながらコンテナを周囲から見てみた。すると、運良くコンテナの鍵が破壊されていた。 そうだ、アレだ。昨日ヨーグルトを1個姉さんにとっといたからだ、うん。良いことはするもんだな、うん。 などと思いながらコンテナの中に入った。 「…ん?今なんか見えなかったか?」 ヘリのパイロットAがグラウンドを見ながら言った。 「あ?気のせいだろ。それよりバンバス2の装填まだかよ」 「しょうがないだろ。特殊兵装なんて使ったことないんだから」 ミコトは愕然とした。 最悪だ。 僕に…僕にはどうしようも出来ない…
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